インクルーシブな住まい・職場

触れる、見る、聞く、感じる:オフィス素材・質感が創り出すインクルーシブ空間事例と選び方

Tags: インクルーシブデザイン, オフィスデザイン, 素材, 質感, 環境づくり

オフィス空間の心地よさを決める「素材」と「質感」の力

オフィス環境の改善は、従業員の生産性やエンゲージメントに直結する重要な経営課題です。特に近年は、多様なバックグラウンドを持つ従業員一人ひとりが快適に働ける「インクルーシブなオフィス」の実現に関心が高まっています。インクルーシブデザインというと、ユニバーサルデザインに基づいた物理的なアクセシビリティ(段差解消や表示の分かりやすさ)が注目されがちですが、実は空間を構成する「素材」やその「質感」も、従業員の働きやすさに深く関わっています。

床材、壁材、家具の表面、装飾品など、オフィスには様々な素材や質感が存在します。これらは視覚だけでなく、触覚、聴覚、さらには嗅覚にも影響を与え、従業員の五感に訴えかけます。木材の温かみ、布地の柔らかさ、金属の冷たさ、コンクリートの硬質感、吸音材の静けさ、これら一つ一つが空間の印象やそこで働く人々の心理状態に影響を与えているのです。

この記事では、オフィス空間の素材や質感がどのようにインクルーシブデザインに貢献するのか、具体的な事例とともに、総務担当者の皆様が素材選びを検討する際のポイントをご紹介します。

インクルーシブデザインにおける素材・質感の重要性

インクルーシブデザインは、年齢、性別、文化、障害の有無、働き方の違いなど、多様な特性を持つ全ての人が参加しやすく、快適に過ごせる環境を設計することを目指します。この視点から素材や質感を考えることは、以下のような理由で非常に重要です。

五感に響くインクルーシブなオフィス素材・質感事例

具体的な素材や質感が、どのように多様な従業員の働きやすさに貢献するのか、いくつかの事例を見てみましょう。

1. 触覚に配慮した空間づくり

2. 視覚に配慮した空間づくり

3. 聴覚に配慮した空間づくり

4. 嗅覚や健康に配慮した素材選び

オフィス素材・質感選びを検討する際のポイント

総務担当者が、インクルーシブデザインの視点でオフィス空間の素材や質感を検討する際に考慮すべき点を挙げます。

まとめ:素材・質感が育む、誰もが輝けるオフィス空間

インクルーシブなオフィス空間は、単に物理的なバリアフリー化に留まりません。空間を構成する素材や質感が持つ力を理解し、従業員の五感や心理に配慮した選択を行うことで、誰もが心地よく、安心して働くことができる環境を創り出すことが可能です。

素材や質感の工夫は、従業員一人ひとりの感覚特性に寄り添い、ストレスを軽減し、心理的な安全性を高め、結果として生産性や創造性の向上、さらには従業員エンゲージメントの強化に繋がります。

オフィス改修や移転を検討される際は、ぜひデザインや機能性だけでなく、空間の素材や質感がもたらす「心地よさ」にも目を向けてみてください。それは、企業文化を豊かにし、多様な人材がその能力を最大限に発揮できる、真にインクルーシブなオフィスを実現するための重要な一歩となるはずです。