インクルーシブな住まい・職場

第一印象を良くし、誰もが安心して利用できる:オフィスエントランス・受付のインクルーシブ化事例

Tags: インクルーシブデザイン, オフィスデザイン, エントランス, アクセシビリティ, 事例

オフィスエントランス・受付エリアの重要性

オフィスを訪れる人々が最初に接するのは、エントランスや受付エリアです。この空間は、企業の「顔」として第一印象を決定づける重要な役割を担っています。同時に、オフィスへの物理的な入口であり、誰もが安全かつスムーズにアクセスできる場所である必要があります。

近年、企業のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)への取り組みが進む中で、働く人々の多様性だけでなく、オフィスを訪れる方々の多様性にも配慮することが求められています。障がいのある方、高齢の方、外国人の方、あるいは一時的な体調不良を抱える方など、様々な背景を持つ人々がストレスなく利用できるエントランス・受付エリアは、企業姿勢を示すと同時に、従業員の働きやすさにも直結する要素となります。

この記事では、インクルーシブデザインの視点から、オフィスエントランス・受付エリアをどのように改善できるのか、具体的な事例や検討ポイントをご紹介します。

インクルーシブなエントランス・受付エリアがもたらす価値

インクルーシブなエントランス・受付エリアの実現は、単なるバリアフリー対応にとどまらず、企業に様々な価値をもたらします。

  1. 企業イメージ・ブランド価値の向上: 多様な人々への配慮が行き届いた空間は、企業文化の成熟度や社会への貢献意欲を静かに伝えます。来訪者(顧客、求職者、取引先など)は、企業に対してポジティブな第一印象を持ち、信頼感を深めるでしょう。これは採用活動やビジネス機会にも良い影響を与えます。

  2. 多様な従業員の働きやすさ向上: エントランスは来訪者だけでなく、毎日通勤する従業員にとっても重要な場所です。車椅子を利用する従業員、視覚・聴覚に特性のある従業員、あるいは気分や体調に波がある従業員など、多様なニーズを持つ従業員が安心してスムーズにオフィスに入ることができる環境は、日々のストレスを軽減し、働きやすさやエンゲージメントの向上に繋がります。

  3. 従業員の業務効率化: 来訪者がスムーズに受付を済ませ、担当者と連絡が取れる仕組みは、受付業務や来客対応を行う従業員の負担を軽減します。これにより、他の業務に集中できるようになり、部門全体の生産性向上に貢献します。

具体的なインクルーシブデザインの要素と事例

インクルーシブなエントランス・受付エリアを実現するための具体的なデザイン要素と、その効果を事例としてご紹介します。

1. アプローチからエントランスドア

2. エントランスドア

3. 受付エリア

4. サイン計画と情報提供

5. 照明と音環境

導入における考慮事項とコスト

インクルーシブなエントランス・受付エリアを導入する際は、以下の点を考慮すると良いでしょう。

まとめ

オフィスエントランス・受付エリアは、来訪者と従業員双方にとって非常に重要な空間です。このエリアにインクルーシブデザインの視点を取り入れることは、単に物理的な障壁を取り除くだけでなく、企業の多様性尊重の姿勢を内外に示し、ブランドイメージや企業価値を高めることに繋がります。

また、多様な従業員が安心して利用できるエントランスは、日々の通勤におけるストレスを軽減し、結果として従業員のエンゲージメントや生産性の向上にも貢献します。

エントランス・受付エリアのインクルーシブ化は、オフィス全体の働きやすさを向上させるための一歩として、検討する価値のある重要な投資と言えるでしょう。既存オフィスでも、段階的な改修や工夫によって、誰もが「来てよかった」「働きやすい」と感じられる空間を実現することは十分に可能です。